活き活き人担当スタッフ・及川です。現在、釧路市内で開かれているある写真展をご紹介します(^.^)

              『鎌鼬 細江英公写真展』
          (アートスペース ジス・イズ2階『百歳座』)
鎌鼬・細江英公写真展












今をさかのぼる2001年の春、釧路市立美術館の開館1周年記念として、日本を代表する世界的写真家・細江英公(ほそえ えいこう・1933年−)の一大回顧展『細江英公の写真 1950−2000』が開かれました。初期を代表する連作『おとこと女』や作家・三島由紀夫を被写体にした有名な連作『薔薇刑』、作家渾身の傑作といえる連作『抱擁』などといった、写真史に残るモノクロの名作が一堂に会し、釧路でこれだけの内容の写真展はおそらく二度とないであろう、その圧倒的な内容に二日がかりで全作品を見終えたことを覚えています。

それらの展示の中に、秋田生まれの一人の男を主役に据えた、これまた有名な連作がありました。作品の名は『鎌鼬(かまいたち)』。そしてその男の名は、昭和61年に58歳でこの世を去った舞踏家・振付家の土方巽(ひじかた たつみ)。60年代に暗黒舞踏を創始し、それまでの様式的なダンスの概念を覆す肉体表現を次々と行って、舞台に衝撃を与えた人物として知られています。
作品17(1965年)









それから8年後の今年、『鎌鼬』が再び釧路に現れました。会場は市内栄町のジャズ喫茶、ジス・イズ2階にあるアートスペース『百歳座』です。1965年から1968年にかけて製作され、1969年に出版された同名の写真集の中から、全37点のうち未刊行の写真を新たに加えた22点が展示されています。
未刊行作品









白と黒のモノクロの世界の中に焼き付けられた、まだ古い町並みが残る東京や秋田県の田園風景などを舞台に、時に阿呆のようにこっけいに、時に人さらいや盗人のようにまがまがしく、日常という名の光景を切り裂きながら駆け抜ける土方の卑俗で異様な姿は、その名の通りまさに鎌鼬(かまいたち)です。8年前にも観ることができた写真たちの中で、今回新たに加えられた作品の中に、「日常」あるいは「常識」「良識」などという世界への、テロルの漆黒の花(華)を咲かせてみせた土方巽が、椅子に座って呆けたようなどこか孤独な横顔を見せる1枚があったのが、わたしの印象に残りましたね。2月20日(金)まで開かれていて、関連の音楽イベントもいくつか企画されています。興味のある方はぜひ足を運んでみてください。

― 舞踏とは「命掛けで突っ立った死体である」(土方巽)

入場料:500円(小中高生無料)
問合先:ジス・イズ(TEL 0154−22−2519)